3.沖縄特産・ニッチ市場型産業
(1)ニッチ商品とは

 沖縄は日本の中で唯一、亜熱帯地域で、また離島であることから日本本土にはないユニークな商品は多い。このような商品をニッチ商品といい、全国(競争)商品と区別される。沖縄のように大消費市場から遠隔であり輸送費がプラスされる、また人口・経済規模も小さく大量生産に向かないことから、戦略的にニッチ商品戦略を志向することが望ましい。 また沖縄での全国競争商品は、日本本土といわば絶対的ともいうべき競争力を持ち得る商品でなければならない。例えば日本本土が温帯地域で、沖縄が亜熱帯地域であるので、この自然条件、温度差を競争力としたもの。具体的には図-1に示すように熱帯青果であるニガウリ、マンゴーの商品化である。そして日本全国、また輸入品と比較しても品質と価格で競争力を持つことが必要である。

図-1 全国商品とニッチ商品の位置付け

競争力

沖縄での具体的産業

全国商品

品質と価格
(日本全国と比較して安くてよい品質)

・花卉(菊、蘭)
・熱帯青果(ニガウリ、マンゴー)
・海面利用養殖(車エビ、モズク)

ニッチ商品

付加価値(少し高くてもよいからユニークな商品)

・健康食品
・伝統工芸
・エンターテインメント(音楽産業)

 一方、ニッチ商品は少々、価格が高くてもいかにユニークな、沖縄でしか出来ないというところが競争力になる。 しかし沖縄のニッチ商品はあまりにも生産規模が小さすぎて、あえて表現するとマニア向け、おみやげ(限定)商品といった位置付けになる。

(2)ニッチ市場から全国市場へ:ブランド化、商品多様化

 さてこの沖縄の数多くではあるが、きわめて限定的な特産品を全国市場型にするにはどのような戦略が、そして具体的にはどうすればよいか論じてみよう。

 私も支援している具体的な企業、自然塩(ぬちマース、命の塩の意味)を作っているベンチャー高安(たかやす)(有)を例にして説明してみよう。

 日本ではこれまで、食用の塩は専売制で、政府が販売していた。また製造法は海水から「イオン交換膜法」によって作られ、ある意味で純度の高いNaClが99.0%以上の塩であった。この専売制が廃止になるのを機に高安社長は、ある製塩法を考案しそれによる塩の製造と販売を始めた。

 高安氏はもともとエンジニアである。彼の考えた方法は「常温瞬間空中結晶製塩法」で特許を取り、スタートした。これは海水を直接微細霧発生機に導入し、霧化し40℃〜50℃位の室内へ送り出す。霧が落下する間に水分は気化し、塩分その他塩水に含まれているミネラルはそのまま落下して堆積し、これを集めて商品にしている。しかし価格は一般の塩と比べると約2倍の価格になった。

 これまで塩は身体に悪いと言われていたのはNaClのみ摂取していたからで、自然塩に含まれる豊富なミネラルは身体に必要なものである。これをセールス・ポイントに販売をした。医学的な裏付けについても研究を続けている。

 このセールス・ポイントを具体的に示すためギネス・ブックに挑戦したが、世界一豊富なミネラル分を持つ塩として認定された。ちなみにこの推薦書は、工場が立地している具志川市長と私が書いた。

 当初、おもしろい塩だがしかし高価ということで、日常使う塩としてではなく、沖縄に来た観光客がおみやげ用に買うという商品に位置付けられていた。

 しかしギネス・ブックに登録されたことを機に全国的にも知名度も上昇し、販売額も増大してきた。

 また子供向けのスナック菓子(ポテトチップス等)を作っている全国的なメーカーの使用する塩に使ってもらうことに成功した。(製造が間に合わず、現在は季節限定、地域限定で実験的な使用。)

 スナック菓子は健康上好んで子供には勧められないが、子供の要求に応じて与えているという、いわゆる「ジャンク・フード」というイメージが持たれている。それは塩分が多く含まれているということが理由でそこでこの塩を使えばむしろ身体に良い、少し極端な表現だが、ジャンク・フード→健康食品という食品のポジショニングの変換が可能である。 この提案が認められ、この塩の使用が受入れられ、急に販売量が増加している。これをケースにしてニッチ市場から、全国市場への一般化をしてみよう。

        図-2 ニッチ商品の全国市場型
ニッチ市場(商品)から全国市場(商品)へ

全 国 化
地域特産化 


現在、沖縄の商品はほとんどがWに位置付けられ、観光客用のおみやげ品という位置付けである。

 これを例えばギネス・ブックに登録されるとか、全国放送テレビの話題に取り上げられるなどして全国ブランド化してTの位置にする方法(W→T)。

 もうひとつの方法はすでに全国的な商品(または全国的になりそうな商品を新開発)に、沖縄特産品の特性(味、機能など)を利用してもらうことによって、その商品の価値も高める方法(W→U)。

 この二つの方法があり、本ケースの場合、両方法を使った例である。