2.沖縄(主)産地形成型ビジネス・モデル

沖縄は全国的な主産地形成が極めて下手で、それは沖縄は組織化になじみにくいからかもしれない。沖縄で主産地形成が可能な産業は、本土との比較優位な気候、環境、資源などに基づく「沖縄産地形成型産業」である。しかし全国市場に対して沖縄が7〜8割を供給することによって、かつ価格形成力を発揮できるのはマンゴー、ウッチンなどニッチ市場的なものを除くと、春もの(彼岸)用の小ギク(市場占有率87%)ぐらいなものではなかろうか。

 ゴーヤーは全国的には、まだマイナーな作物、商品ではあるが、主産地形成努力によって全国的に知られるようになってきた。この例を分析することによって、沖縄における主産地形成方法と戦略を明らかにしてみたい。

 1991年ごろまで年により変動はあるものの、ゴーヤーの栽培面積は200ヘクタール前後、収穫量は3500トン前後であった(下図参照)。

 それが93年より栽培面積、収穫量とも急増している。これはFl新品種である「群星」が93年から、「汐風」が95年から導入、普及したからである。この新品種は在来種と比較すると格段と収量が良く「群星」は40%アップ、さらに「汐風」は85%アップした。

 さて沖縄の場合、県内市場が狭小であるので生産量が増加し、県内供給量が増えると需要が過剰となり、価格が下がる。これまでゴーヤーの場合も3千トン以上になると、価格が低迷していた。このような結果、農家は往々に継続してその作物を作らなくなり、別の価格のよい作物に移るという繰り返しが続き、沖縄では産地形成が難しい。

 しかしゴーヤーの場合は少し異なっていた。県外に積極的にPRをし、前年比100%増に近い県外出荷を果たし、県内の供給量を一定に抑えることができた(ニガウリの価格弾力性はマイナス0.6で、入荷量が10%増加しても、価格は6%しか低下していない)。さらに97年からは5月8日を「ゴーヤーの日」として東京、沖縄で消費者拡大を展開している。

 また、県・経済連等の関係機関で93年にゴーヤー調整会議が設置され、毎年の地域ごとの作付け計画の調整、計画出荷がなされた。これも生産を計画的に漸次増加したので、価格の暴落を防ぐ機能があった。

 この結果、農家にとって「群星」を栽培すると10アール当たり170万円、「汐風」は同230万円となり、それぞれ日収1万8千円と2万4千円になる。

 このような反収、日収があれば農家も意欲をわかせて、継続してゴーヤーに取り組み、また栽培農家も増加し、その結果、全国主産地形成が可能であるし、また責任産地としての義務も果たすことができる。

 当事者(JA沖縄経済連、県)も個々の対策とその効果は意識しているが、成功をした全体は理解していないのではなかろうか。ロール・モデルとしてPRする必要がある。

 この沖縄での主産地形成の方法は、何も農産品だけではなく水産、工業製品にもほぼ共通して活用できる。消費者、流通業者が必要な品物を「定時・定量・定質・定規格」に供給できるように沖縄の生産者を組織化し、かつ生産・製造意欲が持続できる所得を確保することである。

 なお、ここに取り上げた全国的品目とニッチ品目(後述3.を参照)とに分けて(下図を参照)、その戦略を構築する必要がある。全国主産地形成のためには沖縄の苦手な組織化と、それへの順応が求められる。ニッチ品目の場合は組織化ではなく、個人の創意工夫をいかに引き出し、発揮できるかがポイントになる。

 また両者に共通するものとして、ぜひ「沖縄ブランド品質認証機関」を設置し、「沖縄ブランド」確立のための品質等の検査、等級付け、評価、そしてブランドを担保するためのアフターサービス、クレーム措置を確立する必要がある。

ゴーヤーの栽培面積と収穫量